バンコクに住み始めたばかりの頃、私はフカヒレと聞くと、どうしても「特別な日に食べる高級料理」というイメージしかありませんでした。
値段も高く、気軽に試せるものではないと思っていたんです。
ところが、実際にバンコクを歩き回ってみると、フカヒレを提供するお店の種類は驚くほど多彩でした。
昔ながらの食堂スタイルでリーズナブルに楽しめるお店もあれば、接待やおもてなしにぴったりの格式高いレストランまで、幅広くそろっているんです。
特に中華街・ヤワラート周辺には、地元タイ人にも観光客にも人気のフカヒレ専門店がひしめいており、値段やメニュー、コスパも店ごとに大きく異なります。
今回はそんなバンコクのフカヒレ専門店を中心に、ヤワラートのお店の値段やメニュー、コスパまで詳しく解説していきます。
これを読めば、タイで初めてフカヒレを食べる方も、気軽にお店選びができるようになるはずです。
バンコク市内のフカヒレ専門店5選(ヤワラート以外)

まずはバンコク全体で、私自身が足を運んだお店や、地元の人に教えてもらった有名店を中心に、フカヒレの魅力を感じられるお店をご紹介します。
5位:China Shark Fin|チャイナ・シャークフィン
ペッブリー通りをランカムヘン方面へ進んだ高架橋下にあり、車で通り過ぎながら見覚えがある人も多いはずです。
でも実はここ、知る人ぞ知る名店なんです。
スペイン産アオザメのヒレを丁寧に下処理し、最高級のオイスターソースで仕上げる姿煮は、言葉を失うほど濃厚です。
おもてなしや接待にも使えるレベルで、日本人女性スタッフが常駐していて、予算や量の相談も日本語でできるのが本当に助かります。
空港とスクンビットのちょうど中間という立地も非常に便利です。
4位:Taitong Shark Fin|タイトン・シャークフィン
BTSサパーンタクシン駅から歩いてすぐ、下町の雰囲気が強く残るヂャルンクルン通り沿いにこの名店があります。
ロビンソンデパートの向かいというわかりやすい立地ですが、外観はとても素朴です。
それでも地元の中華系タイ人や政治家、著名人がこぞって通う、昔ながらの名店です。
約80年の歴史があり、現在は2代目のフイさんが店を切り盛りしています。
屋台スタートらしい気取らない雰囲気のまま営業しているのですが、味は本気そのものです。
カニ肉と小さなアワビが入ったフカヒレスープは、旨みの層が何層にも重なっていて、かむほどに風味が広がります。
3位:Heng Shark Fin|ヘン・シャークフィン
同じくパタナガーン通り沿いにある、チャイナ・シャークフィンと対になるような存在のお店です。
こちらはよりローカル感が強く、気軽に立ち寄りやすい雰囲気。
店内には中華系のおじさんが一人でフカヒレをすすっていたりして、なんとも味のある風景が広がります。
アワビ、カニ、海老、ナマコからガチョウ、ハトまで…とにかく食材の幅が広いのが特徴です。
日本ではなかなか出会えない料理に挑戦できるので、グルメ心がくすぐられます。
2位:Ping’s Shark Fin|ピン・シャークフィン
アソークのシノタイタワー向かいにあるこのお店は、バンコクで暮らす人なら一度は看板を見たことがあるはずです。
13歳で中華街で働き始めたピンさんが、手押し車でフカヒレを売り始めたのが約50年前です。
その味を宝石商のオーナーに認められ、今の場所に店を構えたそうです。
ベルギー、カナダ、そして日本産のフカヒレを扱っていて、日によって香りや食感が微妙に違うのも面白いところです。
まずは何も入れずに味わい、そのあとに自家製マスタード、シーフードソース、黒酢を少しずつ加えるのが定番の楽しみ方です。
味の変化が楽しくて、“二度おいしい”とはこのことだと感じます。
ご飯や麺類を追加して、スープに沈めて食べるのも本当におすすめです。
1位:Scala Shark’s Fin (1992)|スカラ・シャークフィン
スカラは1992年創業の老舗フカヒレレストランで、長年にわたり地元タイ人や観光客に愛され続けています。
以前はサイアムスクエア ソイ1にありましたが、現在はサムヤーンマーケット近くの「ブロック28x」という新しい場所に移転しています。
定番は、あんかけフカヒレスープ(2,000バーツ)。
スープはトロトロ系ではなく、シンプルで飽きのこない味付け。
フカヒレがたっぷり入っていて、口に入れると程よいコリコリ感が楽しめます。
他にもおすすめなのが、カニ爪の黒こしょう炒め(時価)。
これがまた絶品で、カニの爪が大きく、黒こしょうの香りが効いていて、ご飯が進む味です。
さらに大エビとカナのオイスターソース炒め(1,000バーツ)。
海老はぷりぷりで大ぶり、かむとジューシーなうま味が広がり、食べ応えも抜群です。
スカラは、フカヒレだけでなく海鮮料理も楽しめるので、ぜいたくな中華を味わいたいときには、ぜひ訪れてほしいお店です。
ヤワラートの歴史

ヤワラートのフカヒレがおいしいお店をご紹介する前に、まずはヤワラートの歴史について簡単にお話しします。
バンコクで暮らしていると、「中華系タイ人」や「華僑」という言葉を耳にすることが本当に多いです。
私自身、仕事で関わる企業の中でも中華系のオーナーが多く、タイ社会のさまざまな場所に中華系の文化が深く浸透していることを日々実感しています。
なぜここまで多くの中華系の人々がタイに根付いているのか?という背景を知ると、普段の街歩きや食事の時間がもっと意味のあるものに変わります。
そんなルーツを理解するために欠かせないのが、ヤワラートの歴史です。
ヤワラートは、なんと1782年にはすでに街として形ができ始めていたと言われる、タイでも歴史ある中華街です。
今では観光スポットとしても人気ですが、昔から中国南部を中心に多くの人が移り住んできた場所でもあります。
当時の華僑は、港での荷役や道路工事、建設現場などで働くのがほとんどで、裕福とは程遠い暮らしでした。
それでも、勤勉さや仲間同士の結束力で少しずつ商売を広げ、成功する人も出てきたのです。
こうした努力が、今の中華街の賑わいや、ヤワラートに点在する老舗フカヒレ店や中華料理店の基盤になっています。
実際に私もヤワラートを歩いてみると、老舗のフカヒレ店や点心のお店が立ち並び、地元の人たちが家族や友人と集う光景に出会います。
タイの華人は中国としてのアイデンティティにこだわらず、タイ文化の中で生活している人が多く、街の雰囲気にもその影響が感じられます。
観光で訪れるなら、おいしいグルメを味わいながら、この街が長い歴史を経て育まれてきた背景を少し意識して歩くと、より楽しめるはずです。
※ヤワラートについて詳しくはこちらの記事をご覧ください ☟
ヤワラートのおすすめフカヒレ専門店2選

ここからはそんなバンコク最大のチャイナタウン・ヤワラートでおすすめのフカヒレ専門店をご紹介していきます。
Hua Seng Hong|和成豊(フアセンホン)
ヤワラートで中華料理を楽しむなら、まず候補に挙がるのが「Hua Seng Hong(フアセンホン)」です。
タイ全土に多くの店舗を展開する老舗ブランドで、スクンビットやセントラルワールドにも支店があるため、名前を知っている方も多いのではないでしょうか。
その中でもヤワラート店は、観光客だけでなく地元の富裕層にも愛されており、常ににぎわいを見せる人気店です。
ヤワラート店では飲茶ワゴンが回ってきたり、スチーマーから立ちのぼる湯気の中で点心を選べたりと、昔ながらの飲茶スタイルを楽しめるのも魅力です。
定番メニューのフカヒレはもちろん、名物である海鮮料理も人気で、幅広い年代や好みに合わせて食事を楽しむことができます。
フアセンホンのヤワラート店は、ヤワラート通りの中心部に位置し、MRTワットマンコン駅から徒歩3分ほどとアクセス抜群です。
周辺は看板がぎっしりと並ぶにぎやかな通りで、店内に入ると冷房がしっかり効いているため、外の熱気から一気に解放されます。
地元の家族連れや観光客でにぎわう店内はほどよくローカル感もあり、「ヤワラートで食事している」という気分が自然と盛り上がります。
ヤワラート店のほか、近くのジャルンクルン通りにも支店があり、こちらもMRTワットマンコン駅から徒歩3分ほどです。
ヤワラート通り店が混んでいるときには、そちらに移動するのもおすすめです。
フアセンホンのフカヒレスープといえば、フカヒレはもちろん、カニやキノコなどが入った具だくさんのタイプが人気です。
ヤワラートで「コスパよくフカヒレを食べたい」という方にはぴったりです。
他にも、角煮肉まんはフカフカの生地に甘辛い角煮が合いサイドに最適ですし、ハガオ(エビシュウマイ)はプリッとしたエビの食感がよく、王道のおいしさです。
ヤワラートには屋台から高級店まで幅広い中華料理店がひしめいていますが、「冷房が効いた店で落ち着いて中華を食べたい」「コスパよくフカヒレや飲茶を楽しみたい」という方には、フアセンホンが最適です。
チェーン店でありながら安定した品質があり、メニュー数も多く、誰と行っても安心して食事を楽しめます。
飲茶もフカヒレも海鮮も楽しめる、使い勝手の良いレストランとしてぜひ覚えておいてください。
基本情報
名称:Hua Seng Hong|和成豊(フアセンホン)
住所:371, 373 Yaowarat Rd, Samphanthawong, Bangkok 10100
営業時間:毎日9:00〜24:00
公式サイト:https://www.huasenghong.com/
電話番号:02-222-7053
最寄駅:MRTワットマンコン駅
Hengdy Shark Fin Soup|ヘンディー・シャークフィンスープ
もう1軒ヤワラートエリアでおすすめしたいのが、「Hengdy Shark Fin Soup(ヘンディー・シャークフィンスープ) 」です。
Hengdy Shark Fin Soupは、MRTワットマンコン駅から徒歩3分ほどで到着します。
ヤワラート通りのメインストリートに面しているため、初めてでも迷わずに見つけられるはずです。
店内は半屋内でクーラーも完備されています。
外の喧騒から離れて座ると、ホッと一息つける快適さがあります。
高級感はありませんが、ローカルな活気を感じながら食事できる雰囲気で、ヤワラートらしさを楽しむことができます。
まず注文するべきなのは、もちろん名物のフカヒレスープです。
グツグツと煮立った状態で、持ち手付きの小鍋に入って出てきます。
一口スープをすすると、優しい醤油ベースの味わいが広がり、カニのうま味とシイタケの香りが口いっぱいに広がります。
フカヒレはこりこりとした食感があり、かむたびに満足感が得られます。
Hengdy Shark Fin Soupの魅力はフカヒレだけではありません。
高級食材のつばめの巣
も提供されており、小サイズなら150バーツから楽しめます。
私も初めてつばめの巣を食べたとき、透明でぷるんとした食感に驚きました。
甘く冷たく、まるでデザートのようで、食後のスイーツ感覚で楽しめます。
さらに、ココナッツ入りのつばめの巣もあり、こちらは500バーツです。
歴史的には楊貴妃も美容のためにつばめの巣を食べていたと言われており、美肌ケアにもぴったりです。
フカヒレとつばめの巣以外にも、カニ肉チャーハンと香港炒麺をぜひ試してほしいです。
カニ肉チャーハンは、タイ米でパラパラに炒められたご飯にたっぷりのカニ肉が入っており、一口ごとにカニの甘みを感じられます。
香港炒麺は極細の焼きそばで、ほぼビーフンのような食感。ボリュームも十分で、これもSサイズでも満足できます。
お昼の14時から深夜1時30分まで営業しているので、ヤワラートでショッピングやバーを楽しんだ後の〆としても最高です。
基本情報
名称:Hengdy Shark Fin Soup|ヘンディー・シャークフィンスープ
住所:429 431 Yaowarat Rd, Samphanthawong, Bangkok 10100
営業時間:毎日14:00〜1:30
公式サイト(Facebook):https://www.facebook.com/share/1D2oMbKvg4/?mibextid=wwXIfr
電話番号:089-081-5900
最寄駅:MRTワットマンコン駅
まとめ
今回は、バンコクのフカヒレ専門店を中心に、特に中華街・ヤワラートのお店の値段やメニュー、コスパまで詳しくご紹介してきました。
フカヒレというと高級で特別な料理というイメージがありますが、実際にはリーズナブルに楽しめるお店も多いです。
地元タイ人に愛される昔ながらの食堂スタイルから、接待やおもてなしにも使える格式あるレストランまで、選択肢が幅広いことが分かります。
タイに訪れた際には、ぜひ本記事を参考にして、安くておいしいフカヒレを体験してみてください。
特別な日に限らず、バンコクでの食体験をさらに豊かにしてくれること間違いなしです。