バンコクで歴史や文化に触れたいと思ったとき、ぜひ足を運びたいのが「バンコク国立博物館」です。
初めてバンコク国立博物館を訪れたとき、私は思わずその広大な敷地と静かな雰囲気に驚かされました。
王宮の近くという立地もあってか、観光客でにぎわうエリアとは違い、館内はどこか荘厳な空気に包まれていて、歴史にじっくりと向き合うには最高の場所でもあります。
今回は、バンコク国立博物館の行き方と所用時間、そして展示室の概要、おすすめランチや服装などお話しします。
バンコク国立博物館の特徴
バンコクの旧市街、王宮のすぐ近くにある「バンコク国立博物館」は、私がタイで訪れた中でも特に印象に残っている場所のひとつです。
この博物館は、1874年にラーマ5世によって設立されました。
もともとは王族のコレクションを展示するためのものでしたが、今ではタイ最大級の博物館として一般公開され、多くの人々がタイの歴史や文化に触れられる場所になっています。
私が初めてこの博物館を訪れたのは、タイに住み始めて間もない頃でした。
タイの歴史についてもっと深く知りたいと思い、ガイドブックで紹介されていたこの博物館に足を運んだのです。
入ってすぐ、静かで落ち着いた空気に包まれ、時間がゆっくり流れているように感じました。
タイ国立博物館の概要
- 名称:バンコク国立博物館(Bangkok National Museum)
พิพิธภัณฑสถานแห่งชาติ พระนคร (Phiphitthaphanthasathan Haeng Chat Phra Nakhon) - 所在地:Na Phra That Road, Phra Borom Maha Ratchawang, Phra Nakhon, Bangkok 10200, Thailand
- 開館時間:水曜~日曜9:00~16:00(最終入館 15:30)休館日:月曜・火曜・タイの祝日
- 入場料:外国人:200バーツ、タイ国籍保持者:30バーツ
タイ美術と考古学の世界へ
博物館の中でも特に感動したのが、「タイ美術と考古学」エリアです。
ここには、古代から近代にかけての仏像や彫刻、陶器、武器などが展示されています。
スコータイ時代の仏像は、やさしく柔らかな曲線を描いていて、見ているだけで心が落ち着きました。
アユタヤ時代の仏像は逆に力強さを感じさせ、その違いから時代背景を想像するのが楽しかったです。
また、アユタヤ王朝時代の金細工や装飾品もとても豪華で、王室の繁栄ぶりが伝わってきました。
細部までこだわって作られていて、どれだけの時間と労力がかけられたのだろうと、つい立ち止まって見入ってしまいました。
考古学コーナーでは、タイ各地で発掘された石器や青銅器が紹介されており、紀元前から続くタイの文化の奥深さを感じました。
小さな石の道具ひとつにも、そこに生きた人々の知恵や工夫が詰まっていて、歴史の重みを感じさせてくれました。
歴史の流れを感じる「歴史展示」
もう一つの大きな見どころは「歴史展示」エリアです。
ここでは、タイの王朝の移り変わりを時系列で学ぶことができ、特にアユタヤ王朝から現在に至るまでの政治や文化の変化がわかりやすく紹介されています。
戦争の記録や、当時の貿易ルートの説明は非常に興味深く、タイがどれほど東南アジアで重要な役割を果たしてきたかを知ることができます。
特に印象的なのは、ラーマ5世が進めた近代化政策に関する展示です。
西洋の技術を積極的に取り入れ、国の近代化を図った姿勢は、今のタイの発展にもつながっていると感じました。
私が訪れたときは、展示解説が英語と日本語でも用意されていて、外国人でも理解しやすく工夫されていました。
タイ文化の多様性を感じる「装飾芸術と民族誌」
「装飾芸術と民族誌」セクションは、タイ各地の民族衣装や伝統工芸品、日用品などが展示されていて、タイという国がいかに多様な文化を持っているかがよくわかります。
特に心を奪われたのは、北部タイの山岳民族の衣装です。
色とりどりの布や刺繍、ビーズの装飾がとても華やかで、見ているだけで楽しい気持ちになります。
また、木彫りの家具や金細工の装飾品も美しく、タイの職人の技術力に驚かされました。
伝統楽器やお祭りに使う道具なども展示されており、
「タイではこんな楽器が使われているんだ」
「このお面はどんな儀式で使われるんだろう?」
と想像が広がります。
展示物の多くは写真撮影も可能なので、旅の思い出に記録しておくのもおすすめです。
バンコク国立博物館への行き方
バンコク国立博物館の場所は王宮(グランドパレス)やワット・プラケオのすぐ近くで、観光ルートに組み込みやすいのが嬉しいポイントです。
ただし、バンコクはとにかく渋滞が多い街。
上手に移動方法を選ばないと、移動だけで疲れてしまうこともあります。
ここでは、私の経験も交えながら、バンコク国立博物館へのおすすめの行き方を詳しくご紹介します。
BTS(高架鉄道)+ボートの組み合わせが快適!
個人的に一番おすすめなのは、BTS(バンコク・スカイトレイン)とチャオプラヤー川のエクスプレスボートを組み合わせる方法です。
これは、渋滞を避けられる上に、川沿いの景色も楽しめて一石二鳥のルートです。
まず、BTSシーロム線に乗って「サパーンタクシン駅(Saphan Taksin)」まで行きます。
たとえば、サイアム駅からなら乗車時間は約10分、運賃は16〜44バーツ(約65〜180円)ほど。
サパーンタクシン駅で降りたら、すぐそばにある「サトーンピア(Sathorn Pier)」という船着き場へ向かいます。
そこから、
チャオプラヤー・エクスプレスボート(オレンジ色の旗が目印)
に乗船します。
エクスプレスボートの運賃はわずか15バーツ(約60円)で、20分ほどで「ターチャン船着場(Tha Chang Pier)」に到着します。
私もこのルートで行きましたが、風を感じながら川を進む船旅は、とても気持ちが良くて印象的でした。
ターチャン船着場に着いたら、そこから博物館までは徒歩で約10分です。
道中にはお土産屋さんやローカルな食べ物の屋台もあるので、ついつい寄り道したくなってしまいます。
このルートの所要時間は、BTSとボートを合わせて約40〜50分です。
費用は合計で31〜59バーツ(約130〜240円)とローカルプライスです。
交通渋滞のストレスもなく、バンコクのローカルな雰囲気も感じられる、旅好きにはたまらないルートです。
バンコク国立博物館へ行くにはいろいろな方法がありますが、私のおすすめはやっぱりこの「BTS+ボート」のルートです。
旅のスタイルや体力、荷物の量に応じて、タクシーなども上手に使い分けるのが良いでしょう。
タクシーも便利だけど、時間帯に注意!
一方で、荷物が多いときや暑さが厳しい日には、やっぱりタクシーも便利です。
私も友人と一緒に行ったときは、タクシーを使いました。
バンコク中心部(サイアム駅やアソーク駅あたり)から国立博物館までは、およそ5〜7kmで、道が空いていれば20〜30分ほどで到着します。
ただし、気をつけたいのが「渋滞」です。
バンコクの朝夕のラッシュアワー(7:00〜9:00、17:00〜19:00)は本当に混むので、時間が読めません。
タクシー料金は、初乗りが35バーツ(約140円)で、中心部から博物館までの総額は100〜150バーツ(約400〜600円)が目安です。
値段としては手頃ですが、時間に余裕がないときは避けたほうが無難かもしれません。
また、タクシーの運転手さんが英語を話せないことも多いので、乗る前にGoogle翻訳などで降りる場所の情報をすぐに出せるようにしておきましょう。
また、もし言葉に不安があるなら、配車アプリの「Grab(グラブ)」を使うのがおすすめです。
事前に料金がわかるし、目的地もアプリ内で設定できるので、トラブルの心配もほとんどありません。
何よりボッタクリの心配がないのがいいですよね。
徒歩やバイクタクシーはおすすめしない
「歩いて行けるんじゃない?」と思う方もいるかもしれませんが、暑さと距離を考えるとおすすめできません。
博物館の周辺は一方通行や細い路地も多く、初めての人にはわかりづらい場所もあります。
バイクタクシーという手段もありますが、旅行者にはちょっと危険を感じることも。
スピードが速かったり、ヘルメットを渡されなかったりする場合もこともあり、乗るにはリスクがあると思います。
バンコク国立博物館の入場料と日本語ガイドツアーの内容
バンコク国立博物館の入場料・開館時間・休館日
ここでは、バンコク国立博物館の入場料と開館時間、そして休館日について詳しく見ていきます。
入場料は外国人200バーツ!タイ人との差に少し驚きも…
バンコク国立博物館の入場料は、外国人は一律で200バーツ(約800円ほど※為替により変動)となっており、タイ国民は30バーツと格安です。
最初は「え、こんなに差があるの?」と正直ちょっと驚いてしまいましたが、タイの観光地ではよ見かける外国人価格です。
ちなみに、子どもや学生も割引はありません。
私は学生証を持っていたのですが、外国人扱いなので割引は効きませんでした。
チケットは入口にあるカウンターで購入することができます。
ただ、私が訪れたのは週末だったこともあって、受付に列ができていました。
開館時間と休館日
博物館の開館時間は午前9時から午後4時までです。
月曜日と祝日は休館なので、うっかり行ってしまって閉まっていた…なんてことがないよう、事前にカレンダーをチェックしておきましょう。
ちなみに、私が行った日は平日で比較的空いており、落ち着いて展示を鑑賞することができました。
週末は団体客も多くなるので、静かに見たい方は火曜〜木曜あたりが狙い目です。
特別展が開催されることも
バンコク国立博物館では、時期によって特別展(企画展)が開かれており、その際は別途追加料金がかかる場合があります。
私が訪れたときもちょうど特別展が開催されていたのですが、常設展示だけでも十分見応えがあったので、特別展には入らずに済ませました。
特別展はタイ国内の珍しい美術品や、他国の文化財が展示されることもあるそうで、興味がある方はぜひチェックしてみてください。
バンコク博物館の所要時間は2〜3時間
バンコク博物館の館内は想像以上に広く、見どころもたくさんあります。
私の場合、ゆっくり説明を読みながら回ったので、全展示室をまわるのに約2時間半ほどかかりました。
仏像、王室の儀式に使われた調度品、伝統的な衣装、武器、絵画など、ジャンルも多彩で飽きません。
途中にベンチもあるので、疲れたら休憩しながら見学できます。
無料の日本語ガイドツアーが超おすすめ!
個人的にとても感動したのが、日本語の無料ガイドツアーです。
これは
ナショナルミュージアム・ボランティア(National Museum Volunteers)
という団体の方々によって運営されています。
ツアーは毎週水曜日と木曜日の午前9時30分からスタート。
事前予約は不要で、入場料だけで誰でも参加可能です。
私は水曜日に訪れたので、このツアーに運良く参加することができました。
正直言って、日本語で説明してもらえるだけで展示の理解度が何倍にも跳ね上がります!
タイの歴史や宗教、仏像の特徴、王室の儀式などについて、とても丁寧に、しかも分かりやすく解説してくださり、本当にありがたかったです。
ガイドさんも日本語が堪能で、質問にも気さくに答えてくれました。
観光ガイドブックでは分からないような、ちょっとした裏話や豆知識を聞けるのも魅力ですね。
日本語ツアーに参加する時の注意点
ツアーは所要時間が約2時間なので、時間には余裕を持って参加しましょう。
また、開始時間に遅れると合流が難しいことがあります。
私も博物館の中が広すぎて迷いかけたので、時間前には入口に着いておくのがベストです。
団体での参加や、特別なテーマの解説を希望する場合は、事前にボランティア団体へ連絡を取ることも可能です。
Facebookページや公式ウェブサイトなどで情報をチェックしてみてくださいね。
博物館見学のおすすめの服装
バンコク国立博物館はとにかく広いです。
展示室は本館だけでなく、北側・南側・東側に分かれており、庭園や屋外展示も見どころです。
つまり、一日で何キロも歩く覚悟が必要となります。
動きやすくて暑さ対策もできる服装がベスト
私が訪れたのは乾季(11月頃)でしたが、日中は30度を超える日差し。
博物館内には冷房があるエリアもありますが、屋外移動も多いので、涼しくて動きやすい服装が必須です。
おすすめは以下のようなスタイルです:
- 通気性の良いTシャツやブラウス
- 長ズボンまたはロングスカート(寺院も近いので短すぎるものは避けた方が無難)
- 履き慣れたスニーカーやサンダル
- 折りたたみ帽子やサングラスも便利
- 冷房対策に薄手のカーディガンがあると安心
ちなみに、ミニスカートやノースリーブ、ショートパンツは、王宮や寺院見学ではNGになることがあります。
博物館からワット・プラケオなどへ行く予定の人は、肌をあまり出さない服装を心がけると良いですよ。
博物館周辺でおすすめのランチスポット3選!
バンコク国立博物館で展示を見終わったころには、お腹がペコペコ。
そんなときにおすすめのランチスポットを3つご紹介します。
どれも博物館から徒歩圏内で、味もコスパも抜群です。
① The Sixth(ザ・シックス)
博物館の北側、ワット・ポーの近くにある小さなカフェレストランです。
地元食材を使った創作タイ料理が楽しめて、私が頼んだ「トムヤム・スパゲティ」はピリ辛でクセになる美味しさ!
スタッフも英語が通じるので安心です。
- 予算:150〜250バーツ
- 雰囲気:アットホームで落ち着ける
- 営業時間:10:30〜17:00(火曜定休)
② Krua Apsorn(クルア・アプソーン)
ローカルにも大人気のタイ料理店。
オムレツやグリーンカレーなど、どの料理も安定の美味しさ。
とくに「蟹入り卵焼き(カイジャオ・プー)」は絶品です。
観光客向けというよりは、本格派の味を求める人向け。
- 予算:100〜200バーツ
- 雰囲気:地元感のある食堂風
- 営業時間:10:30〜20:00(日曜定休)
③ Elefin Coffee(エレフィン・コーヒー)
ちょっと休憩も兼ねてゆったりしたい人には、こちらのカフェがおすすめです。
軽食やスイーツ、コーヒーも充実していて、観光の合間にホッとできます。
私はここの「マンゴースムージー」に救われました。暑い日には最高です!
- 予算:100〜200バーツ
- 雰囲気:観光客向けのカジュアルカフェ
- 営業時間:8:00〜18:00(無休)
飲み物は持参がおすすめ
バンコク国立博物館の敷地内には売店が少ないため、水やスポーツドリンクなどの飲み物は事前に持って行くのがベターです。
私も一度、炎天下で水を切らして大変な思いをしたことがあります。
近くにコンビニ(セブンイレブン)もありますが、開館前に調達しておくと安心ですよ。
また、入場前には荷物検査があることも。
大きすぎるバッグや飲食物は持ち込み制限がある場合があるので、入口で指示に従いましょう。
バンコク国立博物館の構成
バンコク国立博物館は、旧王宮の敷地に広がっていて、建物ひとつひとつがまるで美術品のようです。
展示物だけでなく、建築そのものが見どころという贅沢な空間です。
ここからは、バンコク国立博物館の建物構成を見ていきましょう。
歴史と芸術が共存する「中央宮殿」
まず訪れたのは「中央宮殿」です。
ここは18世紀末、ラマ1世の王子が実際に住んでいた宮殿です。
門をくぐって中に入った瞬間、色鮮やかな屋根ときらびやかな装飾に目を奪われました。
建物の中はとにかく豪華です。
金細工の宝飾品や、絢爛な王室の衣装がガラスケースに整然と並び、まるで昔にタイムスリップしたかのような感覚になります。
私は特に、王冠と王室の椅子(玉座)に釘付けになりました。
どちらも職人の手作業で作られていて、細部まで非常に繊細な仕事がされています。
まさに「芸術作品」と呼ぶにふさわしいものでした。
また、中央宮殿の外観も見逃せません。
赤と金を基調としたデザインが青空に映えて、思わず写真を何枚も撮ってしまいました。
私が行ったときは平日の午前中で、人も少なく、ゆったりと鑑賞できたのがとても良かったです。
王家の葬儀展示室
次に訪れたのは、王家の葬儀に関する展示室です。
正直に言うと、最初は少し重たいテーマかなと思っていたのですが、実際に見てみるとその荘厳さと歴史の重みに心を打たれました。
中でも圧巻だったのが、王室の葬送車「プラ・ラチャ・カーン」です。
10メートルを超える巨大な車両が展示されていて、その細かな装飾と金色の輝きに言葉を失いました。
これは王室の火葬式で使用されるもので、何ヶ月もかけて準備されるそうです。
タイでは王室葬儀は国家的な大イベントです。
実際に2017年にラマ9世が崩御された際には、全国が喪に服し、何百万人もの人々が式に参列しました。
そういった歴史的背景を知った上でこの展示を見ると、ただの「展示物」ではなく、「生きた歴史」として感じられました。
伝統の暮らしが詰まった「赤い館」
敷地内を歩いていて、ひときわ目を引く建物が「赤い館(The Red House)」です。
その名の通り、鮮やかな赤い外観が特徴的で、写真好きにはたまらないスポットです。
この建物は、かつてラマ1世の妹が暮らしていた住居で、今は王室の日用品を展示しています。
内部には、見事な木彫りの家具や食器、寝具などが並んでいて、王族の生活を想像しながら歩くことができます。
私が特に感動したのは、キッチン周りの展示。昔の炊飯器や茶器などが並んでいて、「こんな生活をしていたんだな」と親しみを感じました。
日本の昔の道具と似た部分もあり、不思議な懐かしさもありました。
豆知識として、赤い館の建築様式は「タイ南部の伝統的な高床式住居」を取り入れており、湿気や洪水から守る工夫がされています。
こうした建築技術にもタイ人の知恵が詰まっていますね。
心が洗われるような「ブッダイサワン礼拝堂」
私にとって一番心に残ったのが、ブッダイサワン礼拝堂でした。
ここは、ラマ1世が建立した仏教礼拝堂で、タイ仏教美術の最高峰とも言われる場所です。
内部には「プラ・プッタ・シヒン」という国宝級の仏像が安置されており、その表情はとても穏やかで、見る者の心を落ち着かせてくれます。
私は思わず数分間、何も考えずに仏像の前に座っていました。
壁には美しい仏教壁画がびっしりと描かれていて、仏陀の生涯や、地獄・天国の物語が色彩豊かに表現されています。
ガイドブックには「絵巻物のように左から右へと物語を追ってみるとわかりやすい」と書かれていて、そのようにすると、本当におとぎ話の世界に入り込んだような感覚になりました。
時代を旅する「新歴史館」
「新歴史館」は、バンコク国立博物館の中でも一番新しくて近代的な展示スペースなんです。
実際に入ってみると、広々とした空間に整然と並んだ展示と、分かりやすい映像やインタラクティブな仕掛けがたくさんあって、まるでタイの歴史の中を旅しているような気分になりました。
ここでは、先史時代から現代までのタイの歴史が、順を追ってしっかり紹介されています。
私が特に引き込まれたのは、アユタヤ王朝とラッタナーコーシン時代の展示でした。
アユタヤ時代の戦争の様子や、外国との貿易で栄えた様子が、実物の武器や船の模型とともに紹介されていて、「なるほど、こうやって国が発展していったんだな」と実感できました。
また、ラマ5世(チュラーロンコーン大王)による近代化政策の展示も見逃せません。
鉄道の建設や西洋式の教育制度の導入など、現代のタイ社会の基礎を築いた偉大な国王の功績に、思わず胸が熱くなりました。
北タイの美しさを感じる「北側の展示室」
「北側の展示室」は、タイ北部の文化や芸術、民族の暮らしがテーマになっています。
私は以前チェンマイやチェンライを旅したことがあるので、懐かしさとともにとても興味深く見学できました。
まず目を引いたのが、ランナー王朝時代の仏像や陶器。細部まで繊細に彫られた木彫りの祭壇や、カラフルな仏教の装飾品は、まさに職人技の結晶。
これらは実際に祭りや宗教行事で使われていたそうで、タイの人々の信仰の深さを感じずにはいられませんでした。
また、ランナー伝統の織物や衣装も素晴らしかったです。
赤や金、緑といった鮮やかな色で織られた布地には、民族独自の模様が入っており、その美しさに目を奪われました。
当時の生活道具も展示されていて、王族だけでなく庶民の暮らしぶりまで垣間見ることができます。
歴史やアートが好きな方はもちろん、「タイ北部ってどんなところ?」と興味を持っている人にとっても、このエリアはとても参考になると思います。
異文化が融合する「南側の展示室」
南側の展示室は、タイ南部の文化と歴史を深く掘り下げている場所です。
個人的にはここが一番印象に残りました。
というのも、南部はマレー半島を通じた海洋貿易やイスラム文化の影響が色濃く残っている地域で、タイの他のエリアとは一味違う雰囲気なんです。
展示室には、貿易で使われた陶器や宝飾品、そしてイスラム文化の影響を受けた装飾品がずらりと並んでいます。
特に、幾何学模様が入った陶器は、他の展示とは全く違う美しさがあり、「こんなに多様な文化がタイにはあるんだ」と驚かされました。
さらに、海洋民族の暮らしを再現したコーナーも面白かったです。
伝統的な漁具や船の模型、漁に使われた網や道具などが展示されており、南部の人々が自然とどう共生してきたのかを学ぶことができます。
個人的には、「貿易で栄えた港町」の資料もとても興味深かったです。
タイが昔から国際的な文化と交流していたことを、改めて認識するきっかけになりました。
休憩所
広い博物館を1~2時間歩き回っていると、やっぱり疲れてきますよね。
そんな時にありがたいのが、休憩所の存在です。
館内にはいくつかの休憩スポットがあり、中でも中庭のベンチエリアは特におすすめの場所。
緑に囲まれた空間で、涼しい風に吹かれながら、私もここでしばらくぼーっとして、展示を振り返ったり、写真を見返したりして過ごしました。
静かで落ち着いた空間なので、小さなお子さん連れの方や年配の方にもぴったりだと思います。
また、館内にはカフェも併設されていて、冷たいドリンクや軽食を楽しめます。
私はフレッシュジュースとバナナケーキを頼んで、観光の合間にリフレッシュできました。
カフェの隣にはお土産ショップもあるので、タイの伝統工芸品や記念グッズを買うのにも便利です。
北側の展示室の詳細とタイの歴史
北側の展示室には、タイの主要な歴史時代ごとの文化や芸術が時系列で紹介されており、まるでタイの過去を旅しているかのような体験をすることができる場所です。
ここは、単なる美術品や工芸品のコレクションを超えた、歴史と文化の“語り部”のような存在だと私は感じています。
一つひとつの展示物が、当時の人々の想いや日常を今に伝えてくれているのです。
ここからは、私が実際に見て感じたことを交えながら、北側展示室の魅力を詳しくご紹介していきたいと思います。
ランナー王国の静かな美しさ
展示室の一角にあるランナー王国(1292年〜1775年)のコーナーに足を踏み入れた瞬間、私は一気に北タイの世界に引き込まれました。
木の香りが残るような繊細な木彫りの仏像や祭壇は、ひとつひとつが丁寧に作られていて、どこか懐かしい温かさを感じました。
特に感動したのは、金箔で彩られた仏像。光の当たり方で表情が変わるように見えて、まるで仏様が微笑みかけてくれているようでした。
展示されていた伝統織物もとても美しく、細かい模様や色の使い方からは、ランナーの人々の美意識と技術の高さが伝わってきました。
信仰と日常生活が密接につながっていたランナー王国。
その暮らしぶりを今に伝える工芸品の数々には、心がじんわりと温まる思いがしました。
スコータイ王朝 ― 微笑みの仏像との出会い
次に訪れたスコータイ王朝(1238年〜1438年)の展示室では、思わず足を止めてしまう仏像が並んでいました。
「スコータイの微笑み」と呼ばれる、穏やかでやさしい表情をたたえた仏像たち。
その姿は、まるで「大丈夫、すべてうまくいくよ」と語りかけてくれているようでした。
スコータイ様式の仏像は、しなやかな曲線と上品な姿勢が特徴で、他の時代の仏像とは明らかに雰囲気が異なります。
私自身、スコータイ遺跡を訪れたことがありますが、あの時の感動が再びよみがえりました。
また、青白磁や陶器の展示からは、スコータイ時代の生活や貿易の様子をうかがうことができました。
当時は中国や周辺諸国との交易も盛んだったようで、その影響が芸術や工芸品にも現れています。
仏教を中心に国づくりが行われた時代という背景を知ると、より一層、展示品への理解が深まりました。
アユタヤ王朝の栄華に触れる
アユタヤ王朝(1351年〜1767年)は、私にとってタイの「黄金時代」の象徴です。
展示室に入ると、まず目を奪われたのは豪華な金細工や宝飾品の数々です。
王族が身につけていたと思われる装飾品は、まるで映画の世界のようでした。
特に印象に残ったのは、貿易に使われた陶磁器や、中国やヨーロッパとの交流に関する資料です。
アユタヤが当時、国際的な貿易都市としていかに重要だったかがよくわかります。
実際、ポルトガルやオランダ、日本との交流もあったというのは意外でした。
日本の戦国時代末期に山田長政がアユタヤ王朝に渡り活躍した話も有名ですよね。
また、武器や鎧などの軍事関連の展示からは、他国との戦いに備えたアユタヤ王朝の戦略性が伝わってきました。
寺院の模型や壁画の展示もあり、都市としての機能美や宗教との結びつきを感じ取ることができます。
建築に興味がある方には、特におすすめのコーナーです。
トンブリー王朝 ― 再建の時代を知る
アユタヤ王朝がビルマ軍により滅ぼされた後、タイの再建を担ったのがトンブリー王朝(1767年〜1782年)です。
展示室では、タークシン王の肖像画や資料が丁寧に紹介されており、その功績をしっかりと知ることができました。
タークシン王は混乱の時代に国を再統一し、短期間ながらも重要な役割を果たした人物です。
私は、彼の強いリーダーシップと戦略眼に深く感動しました。
また、軍事用の武器や当時の貨幣なども展示されていて、当時の政治・経済の状況を視覚的に理解することができます。
展示されていた仏像や寺院装飾からは、再建の中でも文化や信仰を大切にしていた様子が伝わってきました。
短命な王朝ではありますが、その存在感は非常に強く、歴史を語るうえで欠かせない時代だと感じました。
ラッタナーコーシン王国 ― 現代へ続く伝統
最後に訪れたのが、現在に続くラッタナーコーシン王国(1782年〜)です。
バンコクを首都としたこの王朝は、現代のタイ文化の礎を築いた時代でもあります。
展示室では、初代ラマ1世から現代に至るまでの国王の肖像画や、王室にまつわる儀式道具、宝飾品がずらりと並んでいます。
中でも、ラマ5世(チュラロンコーン王)による近代化政策に関する展示は非常に興味深く、西洋文化を積極的に取り入れた衣装や外交書簡などから、その先進的な考え方を感じました。
また、現代の王室活動に関する写真や映像も紹介されており、過去から現在へと続く王室の歩みがしっかりと伝わってきます。
私はこの展示を通じて、なぜタイの人々が今でも国王を深く敬愛しているのか、その理由が少しわかった気がしました。
南側の展示室の詳細
南側の展示室は、アジアの広い地域にわたる歴史や文化が詰まっていて、歩きながらまるで時間旅行をしているような感覚になる空間です。
私はもともと東南アジアの歴史や芸術に興味があったのですが、この展示室を訪れてから、さらにその魅力に引き込まれました。
展示を通じて、アジアという広大な地域の中で、人々がどのように文化を育み、交流し、信仰と共に生きてきたのかを肌で感じることができました。
こちらでは、私が実際に見て感じたことも交えながら、南側展示室の見どころを詳しくご紹介していきます。
アジアの芸術 ― 多様な美の世界
「アジアの芸術」展示室は、まさにアジアの文化が集結した空間です。
タイだけでなく、中国、インド、日本、カンボジアなど、さまざまな国から集められた美術品が一堂に会しています。
特に印象的だったのは、中国の青磁の美しさと、インドのヒンドゥー教彫刻の迫力です。
青磁は淡い青緑色が光を柔らかく反射し、なんとも言えない上品な雰囲気です。
インドの彫刻は、神々の動きや表情がとてもリアルで、今にも語りかけてきそうでした。
また、日本の仏像や陶器も展示されていて、母国の文化が海外でどう評価されているかを見るのも新鮮でした。
展示品を通じて、国ごとの宗教観や美意識の違いを比較するのも面白く、まるでアジアの縮図を歩いているような気持ちになります。
先史時代 ― 東南アジア文明のはじまり
「先史時代」展示室では、東南アジアにおける人類のはじまりを知ることができます。
石器、土器、骨の化石、装飾品……一見すると地味に思えるかもしれませんが、ひとつひとつにストーリーがあります。
特に目を引いたのが、タイ東北部のバンチェン遺跡から出土した彩色土器です。
渦巻き模様がまだ鮮やかに残っていて、約3,000年前のものとは思えないほどの保存状態です。
色とデザインには、古代人の美意識や祈りの気持ちが込められているように感じました。
農耕の始まりや集落の発展なども、パネルでわかりやすく解説されているので、東南アジアの歴史に詳しくない人でもスッと理解できます。
ドヴァーラヴァティー王国 ― 古代モン族の穏やかな仏教美術
この展示室は、6世紀から11世紀頃にタイ中部で栄えたドヴァーラヴァティー王国に関する展示です。
仏教の影響を強く受けた王国で、仏像や石碑、宗教儀式に使われた品々がたくさん並んでいます。
丸みを帯びた仏像や、穏やかな表情のレリーフは、見ているだけで心が静かになってきます。
私自身、忙しい日々の中で心がざわついていたのですが、この空間で不思議と癒されました。
また、当時の貨幣や交易品も展示されており、中国やインドと広く交流があったことがわかります。
仏教がどのようにこの地域に根付いていったのかを学ぶには、とても良い展示です。
ジャワの芸術 ― 石の中に宿る神々の物語
「ジャワの芸術」展示室では、インドネシアのジャワ島で栄えた仏教・ヒンドゥー文化の融合を感じられます。
私は特に、ボロブドゥールやプランバナン寺院に関連する石像やレリーフに惹かれました。
それぞれの彫刻には物語があり、神々の教えや神話が繊細な彫りで描かれています。
宗教美術が持つパワーと、人々の信仰心の深さを感じました。
デザインや構図、彫刻技術も非常に高く、東南アジアの芸術水準の高さを改めて実感しました。
私は実際にインドネシアにも訪れたことがあるのですが、ここで改めてその記憶がよみがえり、懐かしさと感動が入り混じった気持ちになりました。
シュリーヴィジャヤ王国 ― 海に生きた帝国の記憶
7世紀から13世紀にかけて、東南アジアの海上貿易を支配していたシュリーヴィジャヤ王国。
この展示室では、貿易品や宗教的装飾品などを通じて、当時の豊かさと広い交流ネットワークが伝わってきます。
金で装飾された仏像や、当時の船を模した模型は圧巻で、技術力の高さを実感できます。
海上貿易を通じてムスリムの文化がどのように広まったのか、リアルに想像できるのがこの展示の魅力です。
海洋史に関心がある方はもちろん、交易を通じて広がる仏教文化や、人と人とのつながりに興味がある方にもおすすめです。
ラヴォ王国(ロッブリー) ― クメール文化の影響を受けた都市国家
最後にご紹介するのは、ラヴォ王国(ロッブリー)の展示室です。7世紀から14世紀にかけて栄えたこの王国は、カンボジアのクメール帝国の強い影響を受けていたため、建築様式や彫刻にはアンコール・ワットの雰囲気が色濃く残っています。
ヒンドゥー教と仏教が融合した神像やレリーフは、とても細かく作り込まれており、当時の技術の高さに驚かされます。
また、宮殿や寺院の模型を通じて、当時の都市構造や人々の暮らしぶりを視覚的に理解できます。
私はこの展示を見たあと、実際にロッブリー遺跡を訪れましたが、事前に知識を得ていたおかげで、現地での体験が何倍にも深まりました。
まとめ
今回は、バンコク国立博物館の行き方と所用時間、そして展示室の概要、おすすめランチや服装などについえお話ししました。
バンコク国立博物館は、単なる観光スポットではなく、タイの歴史や文化を深く理解できる学びの場でもあります。
私もこの場所を訪れて、タイという国がどれほど豊かな歴史と精神文化を持っているのか、改めて感じることができました。
博物館は広く、じっくり見るには数時間は必要ですが、歴史好きならあっという間に時間が過ぎてしまいます。
アクセスも便利で、ワット・プラケオ(エメラルド寺院)やワット・ポーなど有名な観光地から徒歩圏内にあります。
もしバンコクを訪れる機会があるなら、ぜひこの博物館にも足を運んでみてください。
ガイド付きツアーや音声ガイド(日本語も対応)もあるので、初めての方でも安心して楽しめます。
歴史に詳しくなくても、心に響く何かがきっと見つかるはずです。