バンコクの旅で一度は耳にする「チャオプラヤーエクスプレス」。
観光雑誌やガイドブックにもよく載っていますが、実際に乗ったことがある人はまだ少ないかもしれません。
けれど、この水上バスをうまく使いこなせるようになると、バンコク観光の楽しみ方が一気に広がります。
チャオプラヤーエクスプレスボートは、バンコクの中心を流れるチャオプラヤー川を走る公共交通です。
道路の渋滞に関係なくスイスイと進み、料金も一律16バーツほど。
「安くて早い、そして眺めがいい」という三拍子そろった移動手段なんです。
1970年代から運航していて、地元の人にとっては毎日の足、旅行者にとっては観光と移動を兼ねた人気ルートになっています。
川沿いにはワット・アルン、ワット・ポー、王宮、カオサン通り、そしてアイコンサイアムなど、名所がずらり。
「チャオプラヤーエクスプレスの路線を使って寺院めぐりをする」というのも、定番になりつつあります。
チャオプラヤーエクスプレスの時刻表はおおむね6時から19時ごろまでで、5〜10分おきに運航。
ただしラインの色によって運行時間帯が違うので注意が必要です。
観光向けなら、毎日運行していて停船も多い「オレンジライン」が便利です。
もうひとつ知っておきたいのが「ブルーライン」。
正式にはチャオプラヤーツーリストボートと呼ばれ、エクスプレスボートとは別会社ですが、観光客にはこちらも人気。
料金は1回45バーツ、1日乗り放題150バーツで、英語案内もあり、観光地を中心に回るよう設計されています。
エクスプレスボートが「地元の足」だとしたら、ブルーラインは「旅行者向けの快適ルート」。
どちらを選ぶかで旅のスタイルが少し変わります。
初めて乗る人は「乗り方が難しそう」と感じるかもしれませんが、実際はとてもシンプル。
サトーン(CEN)やターチャン(N9)など主要な船着き場に行き、旗の色を見て乗るだけ。
オレンジ・黄・緑・赤といった色で路線が分かれており、行き先ごとに違う旗を掲げています。
切符を買うのも簡単で、ブルーラインはカウンターで購入、オレンジラインは乗船後に料金を渡すだけです。
そして何より、川の上から眺めるバンコクの風景は格別です。
ビルのすき間から見える寺院の屋根、橋の下をくぐる瞬間、風に乗ってくる街の匂い。
地上の喧騒から少し離れて、ゆっくり流れる時間を感じられるのが、この水上バスの魅力だと思います。
この記事では、チャオプラヤーエクスプレスの乗り方や料金、時刻表、そしておすすめ路線をわかりやすく紹介します。
観光用ブルーラインの違いや、夜のクルーズ情報、所要時間の目安などもまとめています。
「せっかくだから、バンコクを川から楽しんでみたい」という人の参考になれば嬉しいです。
チャオプラヤーエクスプレスの概要

バンコクを旅していて、「川を走るボートに乗ってみたいな」と思ったことがある人は多いと思います。
チャオプラヤー川を走るチャオプラヤーエクスプレスボートは、そんなときにぴったりの交通手段です。
観光を楽しみながら、渋滞知らずで市内を移動できる、まさに動く観光ルートといってもいいでしょう。
この水上バスは1971年に運行を始め、今では地元の通勤客から観光客まで、毎日たくさんの人が利用しています。
バンコクの道路は時間帯によっては本当に動かなくなることがあり、タクシーに乗ってもメーターが上がるだけで進まない…なんてことも珍しくありません。
そんなとき、川沿いの風を受けながらスイスイと進むボートに乗ると、「ああ、これがバンコクのもう一つの道なんだな」と実感します。
チャオプラヤーエクスプレスの運航区間は、バンコク中心部の
サトーン(CEN)から北のノンタブリー(N30)
まで。
川沿いにはワット・プラケオ(王宮)やワット・ポー、ワット・アルン、カオサン通り、アイコンサイアムなど、誰もが訪れる定番スポットが並んでいます。
BTSやMRTが届かない旧市街エリアにもアクセスできるので、観光の足としても非常に便利です。
フラッグボートとは?
チャオプラヤーエクスプレスボートというのは、
「フラッグボート」
のことです。
チャオプラヤーエクスプレスボート社が運営する路線で、
その名の通り、船尾に掲げられた旗の色で路線を区別します。
(以前はすべての船着き場に停まるノーフラッグのエクスプレスボートもありましたが、2023年以降廃止済み。現在ではすべてのチャオプラヤーエクスプレスボートに旗が立っています)
フラッグボート(チャオプラヤーエクスプレスボート社運営)
| 旗の色 | 路線名 | 運賃(バーツ) | 運行時間帯 | 特徴 | 主な運行区間 |
|---|---|---|---|---|---|
| オレンジ | オレンジライン | 一律16B | 毎日運行(6:00〜18:00/19:00頃) | 観光に最も便利。 停船場所が多く、初心者向け | ワットラーチャシンコン(S3・アジアティーク) ⇔ノンタブリー(N30) |
| 黄 | イエローライン | 一律21B | 平日のみ (昼間も一部運行) | 通勤客中心。のんびり区間も多い | サトーン ⇔ノンタブリー |
| 緑 | グリーンライン | 14〜33B(区間制) | 平日の早朝・夕方のみ | パーククレット方面へ。 地元向け路線 | サトーン⇔パーククレット(N33) |
| 赤 | レッドライン | 一律30B | 平日の早朝・夕方のみ | エアコン付きの快速船。 通勤客が多い | サトーン ⇔ノンタブリー |
※運賃は変更されることがあるので、現地で確認を。
路線がいくつもあって、最初はちょっとややこしく感じるかもしれませんが、慣れると簡単。
旗の色をチェックするだけです。
ただし、同じ船着き場に何本も違う路線が来るので、旗をよく見て乗らないと別のところへ行ってしまいます。
観光客にとっておすすめは、断然オレンジラインです。
一番運行本数が多く、ワット・ポーや王宮、カオサン通りといった観光地にも停まります。
しかも一律16バーツ(約70円程度)と格安。
船内は地元の通勤客も多いですが、スタッフが慣れていて案内もスムーズなので、初めてでも安心です。
・チャオプラヤーエクスプレス社の公式ページです。
時刻表や最新情報はこちらから。
https://www.chaophrayaexpressboat.com/chaophrayaexpressboat?lang=en&lightbox=dataItem-kvs4rdyw

おすすめ路線と主要な船着き場

チャオプラヤー川のボートは、慣れてしまえば本当に便利で、観光の強い味方になります。
でも最初のうちは「どこで乗って、どこで降りればいいの?」と戸惑う人も多いはず。
まずは、旅行者にとって使いやすい
フラッグボートのひとつである
オレンジライン(通勤・観光兼用)
と、別会社が運営する
ブルーライン(観光用)
のおすすめルートをご紹介します。
ちなみに、現地でも混同されがちですが、
ブルーラインは「チャオプラヤーツーリストボート(Chao Phraya Tourist Boat)」という別会社が運営する観光路線です。
同じように旗は立っていますが、正確には「チャオプラヤーエクスプレスボート」社の運営する「フラッグボート」の仲間ではありません。
ブルーライン(チャオプラヤーツーリストボート社運営)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営会社 | チャオプラヤーツーリストボート |
| 対象 | 観光客向け |
| 運賃 | 一回45バーツ、1日乗り放題150バーツ |
| 支払い方法 | チケット売り場または船内で購入(現金・QR支払い対応) |
| 停留所 | サトーン〜プラアーティット間(観光地中心) |
| 特徴 | 案内アナウンスあり、快適で座席もゆったり、写真映えする白×青の船体 |
・チャオプラヤーツーリストボート社の公式ページです。
時刻表や最新情報はこちらから。
https://chaophrayatouristboat.com/tourist_boat.html

出発の定番:サトーン(Sathorn / Central Pier)
まず最初に覚えておきたいのが、
サトーン(CEN)
です。
BTSスカイトレインのサパーンタクシン駅
を降りた目の前にあるので、アクセスがとても簡単。
すべてのフラッグボート(オレンジ・黄・緑・赤)とブルーラインがここを起点にしています。
朝から夕方まで、常に人が多く、観光客も地元の通勤客も入り混じってにぎやか。
ここでチケットを買い、行き先を確認してから乗るのが基本です。
ブルーラインなら専用カウンターがあり、英語で案内してくれるので安心。
フラッグラインのひとつであるオレンジラインは、船内でスタッフに支払うのが基本です。
個人的に好きなのは、朝のサトーン桟橋。
通勤ラッシュの中で動き続けるボート、汽笛、川風、そして船を待つ人々。
忙しさとのんびりが混ざった「バンコクの日常」を感じられる場所です。
王宮・ワットポー観光の拠点:ターチャン(Tha Chang / N9)
観光で一番人気なのが
ターチャン(N9)。
ここはワット・プラケオ(王宮)とワット・ポーの最寄り船着き場です。
サトーンからオレンジラインでおよそ20分ほど。
船着き場を出るとすぐ屋台が並び、地元の人や観光客でいつもにぎやかです。
マンゴー、グリルバナナ、ココナッツアイスなど、軽く食べ歩きできるものも多く、観光前にちょっと腹ごしらえするのもおすすめ。
暑い日なら冷たいココナッツジュースが最高です。
注意点として、帰りのボートは夕方に混みやすいので、少し早めに船着き場へ戻るといいですよ。
船着き場の端にあるカフェから眺める川の景色もなかなかのもの。
ワット・アルンへ:ターティアン(Tha Tien / N8)
ターチャンのすぐ隣が
ターティアン(N8)。
ここからは、
対岸のワット・アルンへ渡し船で行くことができます。
この渡し船はチャオプラヤーエクスプレスではなく、別運営の小型フェリーで、料金はたったの5バーツ。
船に乗って1〜2分で対岸へ渡るだけですが、この短い時間に広がる景色がとても印象的です。
目の前にそびえるワット・アルンの白い塔、川面の光の反射、そして行き交うボート。
観光の中でも「一番バンコクらしい瞬間」と言えるでしょう。
帰りは同じ渡し船で戻り、再びオレンジラインやブルーラインに乗り継げます。
昼間は日差しが強いので、帽子や日焼け止めを忘れずに。
カオサン通りに行くなら:プラスメン(Phra Arthit / N13)
バックパッカーの聖地・カオサン通りへ行くなら、プラスメン(N13)がおすすめ。
船着き場を出て10分ほど歩けば、カオサンのメインストリートに到着します。
オレンジラインとブルーラインどちらでも行けますが、ブルーラインのほうが観光向けで案内もわかりやすいです。
夜にカオサンへ行く場合、帰りのボートは運行終了が早いので注意。
夜遅くなりそうなら、帰りはGrab(配車アプリ)やタクシーを使いましょう。
この船着き場周辺は落ち着いた雰囲気で、川沿いのカフェやレストランも多く、夕方に来るのもおすすめ。
川風を感じながらのんびり過ごす時間は、まさに旅の醍醐味です。
買い物スポットへ:アイコンサイアム(ICONSIAM Pier / S3)
観光のあとは少し涼しい場所で休みたいですよね。
そんなときにぴったりなのが、
アイコンサイアム(S3)。
BTSゴールドラインとも直結していて、アジアティーク方面にもアクセスできます。
アイコンサイアムは高級ショッピングモールですが、無料の展望デッキやおしゃれなフードコートもあり、観光の合間に立ち寄く価値あり。
ブルーラインの一部ルートではここが終点になっているので、帰りの拠点にもなります。
特に夕方の時間帯は、対岸のワット・アルンや王宮方面が夕陽に染まり、写真好きにはたまらないスポットです。
ボートを使いこなす注意点
・混雑時は焦らず次の便を待つ。 5〜10分もすれば次の船が来ます。
・乗るときは一歩目に注意。 船が揺れるので、支えながら乗り込みましょう。
・運賃は小銭で。 船内で回収係が歩いてくるので、20バーツ札か、小銭を準備しておくのがベスト。
・川風が気持ちいいのは左側。 サトーンから北上するときは左側に座ると眺めがいいです。
ボートに慣れてくると、バンコクの観光が一気に楽になります。
「川が道になる」感覚は、日本ではなかなか味わえません。
風を感じながら寺院を眺める。
発展した街の便利さと喧騒のすぐ隣に、こんなのんびりした非日常的な風景を楽しめる、そんなところが、バンコクという町の魅力だと思います。
チャオプラヤーエクスプレスの乗り方

船着き場の場所をチェック
チャオプラヤー川沿いには30以上の船着き場がありますが、全部を覚える必要はありません。
観光で使うのは
サトーン(CEN)・ターティアン(N8)・ターチャン(N9)・プラスメン(N13)・アイコンサイアム(S3)
の5か所くらい。
Googleマップで「Chao Phraya Express Boat」と検索すれば、船着き場がずらっと出てくるので、位置関係をざっくり把握しておくと安心です。
BTSサパーンタクシン駅(Saphan Taksin)が最も便利な起点。
改札を出て左へ歩くと、すぐにサトーン船着き場が見えてきます。
オレンジラインを含む、すべてのフラッグボートとブルーラインがここから出発するので、迷ったらまずここへ行きましょう。
チケットの買い方
船の種類によってチケットの買い方が違います。
ブルーラインは、船着き場にチケットカウンターがあります。
「One trip(1回券)」または「One day pass(1日乗り放題)」のどちらかを選び、スタッフに伝えます。
料金は1回45バーツ、1日券は150バーツ。
英語が通じやすく、スタッフも観光客慣れしているので安心です。
オレンジライン(を含むフラッグボートすべて)は、そのまま乗ってOK。
船が出発して少しすると、車掌さんのような係員が運賃を集めに回ってくるので16バーツを手渡し、
支払った印である小さな紙のチケットをもらうだけ。
とてもシンプルです。
小銭か20バーツ札を用意しておくとスムーズです。
50バーツ札以上だと「お釣りがない」と言われることがあるので注意。
1000バーツ札しかない、となるとどうしようもなくなるので、せめて小額紙幣は持って乗りましょう。
乗船の流れと注意点
船着き場には必ず「どの路線が停まるか」を示す看板があります。
旗の色(オレンジ・青など)と行き先を確認してから並びましょう。
タイの人たちは慣れているので、船が近づくとサッと乗り込みますが、観光客は焦らずに。
フラッグボートはもともと地元の人向けの船のため、スピードが速く、船体はやや古め。
船が完全に着く前に動き始めることもあるので、乗るときも降りるときも足元に注意。
段差があり、船が揺れることもあるので、雨季や雨のときは、とくに手すりやロープにつかまりながら慎重に動きましょう。
座席は自由席です。
水面との距離が近いため、隣のボートとすれ違うときに水しぶきが少しかかることがあります。
風を感じたいなら外側の席ですが、水しぶきが気になる人は船の内側に座ると安心です。
乗り降りのタイミングを見逃さないコツ
チャオプラヤー川沿いは似たような風景が続くので、「あれ?降りる場所どこだっけ?」となることも。
でも心配いりません。
船内には英語とタイ語で船着き場の名前をアナウンスしてくれることが多く、看板も見えます。
ただし聞き取りづらいこともあるので、Googleマップで現在地を確認しておくと確実です。
目的の船着き場が近づいたら、早めに立ち上がって出口付近へ移動しておきましょう。
ボートは停まっている時間が短く、もたもたしていると出発してしまいます。
慌てず、でもスピーディに降りるのがコツです。
知っておくと便利な小ワザ
・朝8〜9時は混雑注意。 通勤客でいっぱいになるので、観光は10時以降が快適。
・帽子とサングラスは必須。 川の反射が強く、日差しが直撃します。
・雨季は傘よりレインコート。 強風で傘が役に立たないことも。
・川沿いのWi-Fiは弱い。 オフラインマップを事前に保存しておくと便利。
・水上タクシーに注意。 船着き場で「タクシー?」と声をかけてくる人は観光客向け高額ボートタクシーの可能性あり。
正規のボートは制服を着たスタッフが案内してくれます。
実際に乗って感じたこと
初めてチャオプラヤーエクスプレスに乗ったとき、思っていたよりスピードが速く、水面が近いのでびくびくでした。
でも、川から眺める景色、エンジン音とともに川の上をすべる感じが「旅してる!」という気分を盛り上げてくれ、わくわくしました。
寺院の屋根、川沿いの家、洗濯物を干す人。
どこを見ても生活の風景があり、観光だけでは見えない「バンコクの素顔」を見ることができます。
チャオプラヤー川沿いの観光スポット
チャオプラヤー川を走るボートに乗ると、両岸には見どころが次々と現れます。
ただの移動手段にしておくのはもったいない。
途中で降りて、ゆっくり歩いてみると、バンコクの昔と今が同時に息づいているのが分かります。
ここでは、実際にボートで巡りながら行って「良かった!」と感じたおすすめスポットを紹介します。
ワット・プラケオ(王宮)とエメラルド寺院

チャオプラヤー川の象徴ともいえるのが、バンコク随一の名所ワット・プラケオ(エメラルド寺院)です。
ターチャン(N9)を降りて5分ほど歩くと、まるで金色に輝く迷路のような建物群が目の前に現れます。
ここはタイの王室の守護寺であり、国民にとって神聖な場所。
観光地というよりも「心が引き締まる場所」という感じです。
タイ人の参拝者が手を合わせる姿を見ていると、思わず背筋が伸びます。
服装には注意が必要で、
ノースリーブ・短パン・ミニスカートはNG。
入口でレンタルの布を借りることもできますが、軽い羽織を持っていく方がスマートです。
午前中は観光客が多いので、開門直後(8時半ごろ)に行くのがベスト。
ワット・ポー(涅槃仏寺)

王宮のすぐ南にあるワット・ポーも、チャオプラヤー川観光のハイライト。
巨大な涅槃仏を見た瞬間、誰もが「でかっ!」と声をあげるはず。
全長46メートル、金色の体が光に反射して神々しいほどです。
寺院内は広く、回廊や仏塔も見ごたえがあります。
観光客の多くが写真を撮ってすぐ出てしまいますが、少し時間をかけて歩いてみてください。
タイ伝統マッサージの総本山があり、境内で実際に施術を受けることもできます。
旅の疲れが取れて、心も体もリフレッシュ。
ターティアン(N8)が最寄りで、ワット・アルン行きの渡し船もすぐ横にあります。
ワット・アルン(暁の寺)

川の西側にそびえるワット・アルンは、バンコクで最も美しい寺院のひとつ。
白い仏塔の外壁に、細かい陶器の装飾がびっしり。
光を受ける角度によって色が変わり、朝と夕方でまるで別の姿を見せます。
階段を上って上層部に行くと、チャオプラヤー川の景色が一望できます。
下を走るボートや対岸の王宮が見えて、ちょっとした感動もの。
ただし階段はかなり急なので、上り下りは慎重に。
夕方に訪れるのが特におすすめです。
日が沈む瞬間、川面がオレンジ色に染まり、寺院全体が柔らかく光をまといます。
その美しさは、写真よりも記憶に残るタイプの絶景です。
そのまま戻ってきて、対岸のカフェに入り、ライトアップされたアット・アルンを眺めながらコーヒーやカクテルを飲んでゆっくりできたら、それはもう格別な気分を味わえます。
カオサン通り
ターチャン(N9)やプラスメン(N13)から徒歩圏内にあるのが、世界的に有名なカオサン通り。
昼はカフェやお土産屋が並ぶのんびりした通り、夜になると屋台と音楽で一気に熱気に包まれます。
ビール片手に路上でダンスしている外国人、Tシャツを売る屋台、マッサージ店、屋外バー。
混沌とした空気が「旅」を感じさせる瞬間です。
夜の散策が目的なら、帰りのボートは終わっている時間なので注意。
BTSやGrabを使うのが安全です。
アイコンサイアム(ICONSIAM)
少しモダンな雰囲気を味わいたいなら、アイコンサイアム(S3)へ。
無料シャトルボートも出ていて、観光の合間に立ち寄る人が多いです。
館内にはタイ国内の名物料理を集めたフードゾーン「SOOKSIAM」があり、地方の味をまとめて楽しめます。
屋台のような雰囲気で、価格も手頃。
タイ北部のカオソーイや南部のマッサマンカレーなど、どれも本格的です。
屋外テラスからはチャオプラヤー川を一望でき、夜はライトアップされたワット・アルンが見えることも。
夕食を食べながら夜景を眺める時間は、少し贅沢で、でも手が届く心地よさです。
アジアティーク・ザ・リバーフロント
もう少し南へ行くと、アジアティーク(Asiatique The Riverfront)という人気スポットがあります。
ここも無料シャトルボートがサトーン(CEN)から出ています。
もともと倉庫街だった場所をリノベーションしたマーケットで、レストラン、雑貨店、観覧車などが並び、夜になるとまるでテーマパークのよう。
川沿いの風を感じながら食事ができるレストランも多く、カップルや家族連れにもおすすめです。
夜8時ごろになると、ライトアップされた観覧車が川面に映り込んでとてもきれい。
時間があればここで1日の締めくくりをどうぞ。
チャオプラヤー川の夜を楽しむナイトクルーズ

バンコクの夜をゆっくり楽しみたいなら、チャオプラヤー川のナイトクルーズがおすすめです。
昼間のチャオプラヤーエクスプレスやツーリストボートとはまったく違う雰囲気で、川沿いの街が光に包まれます。
夜風を感じながら、美しい寺院や高層ビルの灯りを眺める時間は、バンコク旅行のハイライトになるはずです。
チャオプラヤーエクスプレスは夜も乗れるのか?
観光客によく聞かれる質問ですが、
チャオプラヤーエクスプレスボートは夜の運航はしていません。
オレンジ旗のボートでも、最終便はだいたい19時ごろが限界です。
そのため、夜の川を楽しみたい人は別のナイトクルーズを利用することになります。
昼間はフラッグボートやブルーラインなどの水上バス、夜は観光クルーズという形で使い分けるといいでしょう。
観光向けの夜クルーズは複数ある
夜のチャオプラヤー川では、観光客向けの
ディナークルーズ船
がたくさん運航しています。
有名なのは「チャオプラヤープリンセス号」や「ワンダフルパール号」。
アイコンサイアムやリバーシティ、アジアティークなどから出発します。
どの船も食事付きで、タイ料理や国際ビュッフェが並び、ライブ音楽やダンスショーが楽しめます。
運賃は船や食事内容で変わりますが、
1人あたり1000〜2000バーツ前後
が目安です。
時間は約1時間半〜2時間ほどで、ゆっくり川を1往復します。
チャオプラヤーツーリストボートのブルーラインとは違う
ブルーラインと呼ばれるチャオプラヤーツーリストボートは、「昼間の観光用」の水上バスです。
1回45バーツ、1日乗り放題150バーツで、昼間の寺院巡りやショッピングに便利です。
ただし、こちらも夜間は運航していません。
夜に利用するなら、ナイトクルーズ専門の船を選ぶ必要があります。
ブルーラインが日中の「観光移動」なら、ナイトクルーズは「夜景観賞の体験」。
目的がまったく違うので、両方体験してみるとバンコクの昼と夜の表情の違いを感じられます。
ナイトクルーズの出発地と所要時間
代表的な出発地は3つあります。
- リバーシティ(River City Pier):高級感のあるディナークルーズが多い
- アイコンサイアム(ICONSIAM Pier):新しいモールで人気の乗船地
- アジアティーク(Asiatique Pier):観覧車が目印、夜市とセットで楽しめる
どの船着き場もBTSサパーンタクシン駅からアクセス可能です。
アイコンサイアムまでは無料シャトルボートも出ています。
所要時間はどのクルーズも
約90分〜120分。
出発は18時半〜20時ごろが多く、船上からはワット・アルンや王宮のライトアップ、橋の下をくぐる瞬間などが見どころです。
予約方法と料金の支払い
チケットはオンライン予約サイトやホテルのツアーデスクで簡単に予約できます。
人気の時間帯はすぐ満席になるので、週末や祝日は早めの予約が安心です。
料金は事前払いが一般的で、食事・ドリンク込みのセットになっています。
当日券を買う場合は、船着き場にあるチケットカウンターで現金(バーツ)払いが多いです。
夜景の見どころと雰囲気
クルーズ中に一番歓声が上がるのが、ライトアップされたワット・アルンを通過する瞬間です。
昼間も美しいですが、夜は金色の光が水面に反射して幻想的。
ほかにも、ラマ8世橋の光や、王宮、サンタクルス教会なども輝きます。
デッキ席に出ると風が気持ちよく、川の音と音楽が混ざってバンコクらしいムードに包まれます。
写真を撮るなら、明るい場所よりもライトの反射が映える川の中央が狙い目です。
ただし、波で揺れることがあるので、スマホやカメラはしっかり持って撮影しましょう。
服装と持ち物
ナイトクルーズは屋外デッキが多く、夜風が意外と強い日もあります。
羽織れる薄手の上着があると安心です。
船内は冷房が強めのこともあるので、長時間のクルーズでは体温調整しやすい服装を心がけましょう。
虫除けスプレーやウェットティッシュ、モバイルバッテリーもあると便利です。
ドレスコードは特にありませんが、高級クルーズではサンダルやタンクトップは避けると好印象です。
夜のチャオプラヤー川の魅力
昼間のチャオプラヤーエクスプレスが「生活の川」だとすれば、
夜のクルーズは「輝く川」。
船の光と街の光がゆらめいて、バンコクのエネルギーを静かに感じられる時間です。
昼にエクスプレスボートで移動し、夜にナイトクルーズで眺める。
同じ川でも、昼と夜でまったく違う表情を見せてくれる。
それがチャオプラヤー川の一番の魅力かもしれません。
チャオプラヤー川沿いには高級ホテルが立ち並び、その多くに夜景が楽しめるルーフトップバーがあります。
たとえば「シャングリラ」「ペニンシュラ」「ミレニアム・ヒルトン」など。
宿泊者でなくても利用できるバーが多く、ボートから降りたあと立ち寄るのもおすすめです。
チャオプラヤーエクスプレスやブルーライン以外にも、
夜に楽しめるクルーズがあることを中心に紹介しました。
次に乗るときは、ぜひ夜の川風を感じながら、光に包まれるバンコクを味わってください。
まとめ
チャオプラヤーエクスプレスボートは、バンコクらしい旅の空気を味わえる、最高の移動手段です。
最初はちょっと勇気がいるかもしれませんが、一度乗ってしまえば「なんだ、簡単じゃん!」と感じるはず。
運賃はたったの16バーツ前後。
渋滞にイライラすることもなく、川風を感じながら寺院や街並みを眺める時間は、まさに非日常です。
路線の中で一番使いやすいのは、オレンジライン。
主要な観光地をほぼカバーしていて、時刻表もわかりやすく、運行本数も多い。
ブルーラインは少し料金が高めですが、観光案内付きで快適に移動できるので、初めての人や家族連れにはおすすめです。
どちらも所要時間は短く、たとえばサトーンから王宮近くのターチャンまでは約20分。
タクシーより早く着くことも珍しくありません。
夜になると、エクスプレスボートの運航は終了しますが、代わりにナイトクルーズが登場します。
ライトアップされたワット・アルンやラマ8世橋を眺めながら食事を楽しむ時間は、昼間の水上バスとはまったく違う魅力。
昼は「生活の川」、夜は「輝く川」。
バンコクの昼と夜をどちらもチャオプラヤー川で体験できるのは、この街ならではです。
もしこれからバンコクを訪れるなら、BTSやGrabだけでなく、ぜひこのチャオプラヤーエクスプレスも旅の計画に入れてみてください。
川沿いの観光スポットを効率よく回れるうえに、料金も安く、ローカル気分も味わえます。
乗り方を覚えれば、もう迷うことはありません。
個人的には、朝の通勤ラッシュ時に川を進むボートの風景が好きです。
水しぶきを上げながら橋をくぐり抜け、朝日が反射するチャオプラヤー川を走るその光景は、バンコクの日常でありながら、旅人には特別な瞬間に感じられます。
バンコクは何度訪れても発見がある街。
次はぜひ、川の上からその魅力を見つけてみてください。
チャオプラヤーエクスプレスの路線を覚えれば、あなたの旅の行動範囲が一気に広がります。
夜はナイトクルーズで、昼とは違う表情のチャオプラヤー川を楽しむのも忘れずに。
風に揺れる光の川を見ながら、「またバンコクに来よう」と思えるような時間がきっと待っています。